蟻の階段 警視庁殺人分析班―電子書籍
概要
麻見和史さんによる警察署小説です。警視庁殺人分析班シリーズ第2作目です。
あらすじ
テーブルの上に横たわる遺体。そのまわりを囲むように置かれた、動物らしき頭蓋骨、白い花、掛け時計、スープ皿――。これらの不気味な装飾品がいったい何を意味するのか?如月塔子が所属する警視庁捜査一課十一係、通称殺人分析班が、現場に残された謎を解き明かしながら犯人へと迫っていきます。
感想
自分が犠牲になってでも愛する人を守りたいという「自己犠牲」は、一見すると尊い行為のように思えます。しかし、それは本当に相手のためを思ってのことなのでしょうか?ただ、相手に「負い目」や「うしろめたさ」を感じさせてしまっているだけなのかも。自分の存在を誇示するだけの、独りよがりな愛情表現、歪んだ愛情表現だと見えているのかもしれません。
犯人が抱いた憎悪の念は理解できます。ただ、復讐だけが自分の生きている意味と思っている様は、本書でもあるように心が暴走してしまっているのでしょう。もし、その暴走を止めてくれる「誰か」や「何か」があったのなら違った結果になっていたかもしれません。今の社会では、誰もが負の感情を抱えています。そして、それが些細なきっかけで暴走へと向かってしまう危険性は、決して他人事ではないように感じます。

蟻の階段 警視庁殺人分析班(電子書籍)
シリーズ名 警視庁殺人分析班
著者 麻見和史
レーベル 講談社文庫
出版社 講談社