密告はうたう 警視庁監察ファイル(電子書籍)

小説

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警視庁人事一課監察係に所属する佐良が、かつての同僚である皆口菜子の不正疑惑を追っていきます。彼女が免許証データを売っていると密告があり、佐良は皆口の行動確認(通称:行確【こうかく】)をはじめることになります。

警察官といえども清廉潔白な人たちばかりではないという現実や、人間らしい側面といったものが描かれています。また警察組織も人間の集まりなので、人間が持ち合わせている嫉妬や妬み、組織内での権力争いや足の引っ張り合いという部分もあるのではと想像できます。また自身の保身や自己愛のために小さなミスを誤魔化そうとした結果、事態が思わぬ方向へと進みさらに悪化してしまうということは、大なり小なり経験があるのではないでしょうか。自分をよく見せたいがためにミスを認められないというのは人間の持っている当たり前の感情だと思います。それを素直に認められるだけの度量が自分にはまだまだ備わっていないのではないかと考えさせられました。

仕事に対しても、不本意ながらもやっていくうちに責任感が芽生えたり、いい意味での開き直りというものができてきて、「やりがい」とまではいかなくてもなんとかなっていくということは大いにあると思います。また本書で佐良と行動をともにする須賀や能馬監察官のように、上司や仲間たちの影響によっても仕事に対する姿勢は違ってくるでしょう。やはりよりよい仕事をするには、自分を認めてくれる仲間が必要で、また尊敬できる上司と共に仕事ができれば自分自身も成長していけるものだと改めて感じました。

密告はうたう 警視庁監察ファイル(電子書籍)
著者   伊兼源太郎
レーベル 実業之日本社文庫
出版社  実業之日本社

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